2010年07月01日
癌と言われた時の病院の選び方(単なる参考です)
癌、あるいは癌かもしれない、と思った時。
どこの病院に行くか、とても迷いますよね。
私も医者のはしくれなので、
知り合いから『どこの病院にいけばいい?』と聞かれた経験は何度もあります。
知り合いの知り合い、とか、親戚の知り合い、とか、全然知らない人の病状を相談されたりもよくあります。
そんなときは何とか力になりたいのですけど、
あまり特別なことを言ってあげられるわけではありません。
特に診療科や地域が違ったりすると、
チンプンカンプンです。
インターネットで調べて、
手術件数や医者のプロフィールを眺めて、写真の顔がやさしそうだからここがいいかな、
などと考えるのは
一般の方が治療する病院を選ぶときと同じです。
実際に、癌ではないですけど、子どもや自分自身が病気になったときも
同じようにインターネットで調べて受診する病院をきめています。
ただ、やはり病院の実情を知る医師の1人として、少しは視点が違うのかなと思うところもあります。
一つは状況に応じて受診する医療機関の規模を考慮すること。
癌などの重い病気が心配であったとしても、
最初は近くの個人の医院に行くのが普通です。
だって、本当に癌かどうか素人判断ではわからないのですもの。
(医者でも検査してみないと診断できないことも多いです。)
最初から総合病院に行くのは、診療時間の都合や待ち時間や診察費用とか考えると決して得策ではありません。
特に総合病院の初診料は、紹介状がないとばか高いので、心配だからといきなり総合病院に受診するのはやめておいた方がいいです。
しかし、近くの医院に受診してみたところ、
癌または癌の疑いがあると診断されてしまったら。。。
紹介状をもらって総合病院に行くわけですが、
この段階で知り合いの医者に意見を聞く人が多いです。
私も
『どこの病院で手術を受ければいいか』
『どの医者が手術がうまいか』
などときかれるのですけど、
そんなこと医者でもわかりません。
よく本やインターネットで紹介されている『名医』と呼ばれる先生方は、
確かに名医なのですけど、
大学の教授だったり、総合病院の院長だったりするので、
その先生方は臨床以外の他の仕事が多すぎて、実際の手術を今でも現役でされることは少ないと思っておいた方がよいのです。
そうすると何を基準に手術をする病院を選ぶかというと。
尋ねられた時に私は、
『通いやすさ』
を重視するようにアドバイスしています。
癌の場合は、術後も長期にわたる通院が必要であることが多く、
通院のしやすさ、はとても大事な要素です。
入院中に家族が面会に行くにしても遠かったり駐車場が停めにくかったりするとたいへんですよね。
病室の清潔さや入院中の食事のおいしさも大切な要素です。
(食事を挙げるのは、単に私が食いしん坊なだけかもしれませんが、病気と戦う気力を保つためには大切な要素だと思いませんか? 病院の姿勢として、そこまで気を使っているということも大事です。)
それらについては、外部の人が詳しく知るのは困難かもしれませんが、
とりあえず病院に行ってみて外来や病室の雰囲気や清潔度だけでも確認するといいかもしれません。
癌、と言われるとすごくびっくりするしあわてるのですけど、
一般の総合病院で日常的に治療している、比較的頻度の高い病気です。
ですから癌だからといってがんセンターや大学病院でなければならないというわけではありません。
特に珍しいタイプの癌は別ですが、
比較的頻度が高いタイプの癌ならば一般の総合病院でも十分な医療が受けられることが多いです。
心配ならばインターネット等でその病院の手術件数などを確認してから受診すればよいでしょう。
手術件数はもちろん一つの大事な指標になります。
おなじ病気の患者さんを頻繁に診察している、ということは医者だけでなく他の医療スタッフも対応に慣れている、ということになりますから、より安全な医療を受けられます。
近くにそのような総合病院があれば、わざわざ遠くの大学病院まで不便な思いをして通院するメリットは少ないと思います。
(大学病院が家からもっとも近所で通院しやすければ別ですが。それにしても、多くの大学病院では、規模が大きすぎてきめ細やかな対応が困難な状況であることは理解しておく必要があります。)
あとは、医者や病院との相性です。
(これが最も大事かも)
自分の体と病気をその医者にあずけることができるかどうか。。。
実際に診察を受けてみて、信頼できそうだなあ、と思ったならばそこで手術を受ければよいですし、
もしもやはり不安で、別のところでもセカンドオピニオンをきいてみたければそう言ってみればよいのです。
最近では数カ所診察を受ける人も少なくないので、医者も慣れています。
『他の病院でも診察を受けてみたいと言ったら気を悪くされるのでは?』
などと心配する必要はありません。
むしろ、それで気を悪くするような医者ならばあまり相性がよくないのかもしれません。
(新興宗教系の民間療法をする、と言われたら、どの医者も止めるとは思いますが。)
一度その病院で治療する、と決めて治療が開始されたら、後から病院をかわることは至難の業です。
そもそも、治療が中断されてますます病状を悪化させることになりますので、全くおすすめできません。
ですから、最初に慎重に病院を選ぶ必要があるのですが、
最近では診察待ちや手術の順番待ちが数週間〜数ヶ月に及ぶところも多いですし、
あまりあちこち行ってそればかりに時間をかけるのも得策ではありません。
日本医療機能評価機構というところが、病院の機能評価の認定をしています。
医療のレベルの評価ではなく、病院の安全対策や感染予防対策などのシステム的な部分を評価しています。
かなり厳密に審査されますし、その評価は十分信頼がおけます。
評価内容はかなり詳しくインターネットで閲覧することができますので、
受診前に一度確認しておくとよいでしょう。
これらの情報が、不安な気持ちでいるだろう患者さんや家族の方の何かの手助けになれば幸いです。
どこの病院に行くか、とても迷いますよね。
私も医者のはしくれなので、
知り合いから『どこの病院にいけばいい?』と聞かれた経験は何度もあります。
知り合いの知り合い、とか、親戚の知り合い、とか、全然知らない人の病状を相談されたりもよくあります。
そんなときは何とか力になりたいのですけど、
あまり特別なことを言ってあげられるわけではありません。
特に診療科や地域が違ったりすると、
チンプンカンプンです。
インターネットで調べて、
手術件数や医者のプロフィールを眺めて、写真の顔がやさしそうだからここがいいかな、
などと考えるのは
一般の方が治療する病院を選ぶときと同じです。
実際に、癌ではないですけど、子どもや自分自身が病気になったときも
同じようにインターネットで調べて受診する病院をきめています。
ただ、やはり病院の実情を知る医師の1人として、少しは視点が違うのかなと思うところもあります。
一つは状況に応じて受診する医療機関の規模を考慮すること。
癌などの重い病気が心配であったとしても、
最初は近くの個人の医院に行くのが普通です。
だって、本当に癌かどうか素人判断ではわからないのですもの。
(医者でも検査してみないと診断できないことも多いです。)
最初から総合病院に行くのは、診療時間の都合や待ち時間や診察費用とか考えると決して得策ではありません。
特に総合病院の初診料は、紹介状がないとばか高いので、心配だからといきなり総合病院に受診するのはやめておいた方がいいです。
しかし、近くの医院に受診してみたところ、
癌または癌の疑いがあると診断されてしまったら。。。
紹介状をもらって総合病院に行くわけですが、
この段階で知り合いの医者に意見を聞く人が多いです。
私も
『どこの病院で手術を受ければいいか』
『どの医者が手術がうまいか』
などときかれるのですけど、
そんなこと医者でもわかりません。
よく本やインターネットで紹介されている『名医』と呼ばれる先生方は、
確かに名医なのですけど、
大学の教授だったり、総合病院の院長だったりするので、
その先生方は臨床以外の他の仕事が多すぎて、実際の手術を今でも現役でされることは少ないと思っておいた方がよいのです。
そうすると何を基準に手術をする病院を選ぶかというと。
尋ねられた時に私は、
『通いやすさ』
を重視するようにアドバイスしています。
癌の場合は、術後も長期にわたる通院が必要であることが多く、
通院のしやすさ、はとても大事な要素です。
入院中に家族が面会に行くにしても遠かったり駐車場が停めにくかったりするとたいへんですよね。
病室の清潔さや入院中の食事のおいしさも大切な要素です。
(食事を挙げるのは、単に私が食いしん坊なだけかもしれませんが、病気と戦う気力を保つためには大切な要素だと思いませんか? 病院の姿勢として、そこまで気を使っているということも大事です。)
それらについては、外部の人が詳しく知るのは困難かもしれませんが、
とりあえず病院に行ってみて外来や病室の雰囲気や清潔度だけでも確認するといいかもしれません。
癌、と言われるとすごくびっくりするしあわてるのですけど、
一般の総合病院で日常的に治療している、比較的頻度の高い病気です。
ですから癌だからといってがんセンターや大学病院でなければならないというわけではありません。
特に珍しいタイプの癌は別ですが、
比較的頻度が高いタイプの癌ならば一般の総合病院でも十分な医療が受けられることが多いです。
心配ならばインターネット等でその病院の手術件数などを確認してから受診すればよいでしょう。
手術件数はもちろん一つの大事な指標になります。
おなじ病気の患者さんを頻繁に診察している、ということは医者だけでなく他の医療スタッフも対応に慣れている、ということになりますから、より安全な医療を受けられます。
近くにそのような総合病院があれば、わざわざ遠くの大学病院まで不便な思いをして通院するメリットは少ないと思います。
(大学病院が家からもっとも近所で通院しやすければ別ですが。それにしても、多くの大学病院では、規模が大きすぎてきめ細やかな対応が困難な状況であることは理解しておく必要があります。)
あとは、医者や病院との相性です。
(これが最も大事かも)
自分の体と病気をその医者にあずけることができるかどうか。。。
実際に診察を受けてみて、信頼できそうだなあ、と思ったならばそこで手術を受ければよいですし、
もしもやはり不安で、別のところでもセカンドオピニオンをきいてみたければそう言ってみればよいのです。
最近では数カ所診察を受ける人も少なくないので、医者も慣れています。
『他の病院でも診察を受けてみたいと言ったら気を悪くされるのでは?』
などと心配する必要はありません。
むしろ、それで気を悪くするような医者ならばあまり相性がよくないのかもしれません。
(新興宗教系の民間療法をする、と言われたら、どの医者も止めるとは思いますが。)
一度その病院で治療する、と決めて治療が開始されたら、後から病院をかわることは至難の業です。
そもそも、治療が中断されてますます病状を悪化させることになりますので、全くおすすめできません。
ですから、最初に慎重に病院を選ぶ必要があるのですが、
最近では診察待ちや手術の順番待ちが数週間〜数ヶ月に及ぶところも多いですし、
あまりあちこち行ってそればかりに時間をかけるのも得策ではありません。
日本医療機能評価機構というところが、病院の機能評価の認定をしています。
医療のレベルの評価ではなく、病院の安全対策や感染予防対策などのシステム的な部分を評価しています。
かなり厳密に審査されますし、その評価は十分信頼がおけます。
評価内容はかなり詳しくインターネットで閲覧することができますので、
受診前に一度確認しておくとよいでしょう。
これらの情報が、不安な気持ちでいるだろう患者さんや家族の方の何かの手助けになれば幸いです。
Posted by tomagoma at 05:00│Comments(0)
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