とまごま日記

『世界一受けたい授業』というテレビ番組があって、
ぼけっと観ていたら、
最新の医療についての授業がありました。

ほーっ、と思ったことや、
もともと知っていたことなどなど。。。

心臓カテーテルで大動脈瘤の血管置換を行ってしまう技術については、
昔は大手術をしなければならなかった治療が、
今ではカテーテルでできてしまうということで、
出演者さんたちの注目を浴びていました。

そこで、ふと思い出したことがあったのでその話を書きます。

学生時代にさかのぼるので、十ン年前のこと。
脳外科の教授のお言葉がとても印象に残っていて、折に付け思い出すのです。

それは、『いつの日か手術の必要ない世の中になることが夢です』とおっしゃったこと。。。

その頃私は卒業間近で、手術の上手な外科系医師になることを夢見ていましたから、
なぜ教授がそんなことをおっしゃるか一瞬とまどいました。
外科医にとっての本懐は、最高の技術を身につけ困難な手術を手際よく成功させること、と思っていましたから。。。
（世間知らずの学生が考える、机上の空論のような考えでしたけど。）

ただ、そのお言葉がものすごく印象に残ったのです。

脳の手術は、心臓と同じく、非常に繊細で難しく、更には、合併症等のリスクも高い手術です。
もしも、手術以外の方法で、病気を治すことができたら、それこそまさに夢のようですよね。

そして、
現在。。。世の中は着実に、手術を回避して治療する方向にすすんでいます。
脳だけでなく、心臓、消化管、そして、子宮や卵巣も。

昔はお腹をばっさり切らなければ治療できなかった病気も、
今では内視鏡で、入院期間も短く、患者さんの負担も傷痕もほんの少しで治療できるようになってきています。
また、手術以外の治療法も徐々に精度が上がってきていて、
癌ですら、部位やタイプによっては必ずしも手術しなくても根治が望めるようになってきました。

当時は夢のようだった、『手術の必要のない世界』がもうすぐ近くまできているのかもしれません。

本当に、現実に、すべての治療がメスを使わずに行えるようになったら。。。
こんなにすばらしいことはないですよね。
私たちの世代では無理かもしれませんが、
次の、子ども達の世代ではもしかすると可能かもしれない、
と本気で思うのです。