とまごま日記

知らないという事ってこわいことだと思います。

子育てしてみて初めて知ったことってたくさんありますよね。
例えばベビーカーで街に出る事がどんなにたいへんなことか。。。
ささいな歩道の段差やほんの数段の駅の階段でも四苦八苦すること
歩きタバコの人とすれ違う時に子供の顔の位置なのですごく神経を使うこと
エレベーターが混んでいてなかなか乗れないことが多いこと
（普通にエスカレーターや階段を使える人はそっちを使ってほしい！と思ってしまいますよね。）
それまでの生活では思いもしなかったことで不便なことがあることにたくさん気がつかされました。

世の中にはその立場にならないとわからないことってたくさんあると思います。

私は学生時代学生寮に入っていた時があります。
その時お隣の部屋の方が全聾の方でした。
恥ずかしながら聾の方の生活を知ったのは初めてでした。
知らなかったことがたくさんあったことに気づかされました。

まず、電話が使えません。
何度か、その方の身内の方にかわりに電話をかけて用件をお伝えしたことがあります。
それから、ノックやチャイムの音に気づくことができないので、来訪者に気がつきません。
ノックやチャイムに連動した点滅ランプを部屋に設置して対応していらっしゃいましたが、
眠っている時などそれに気がつかないこともしばしばのようでした。
生活音も大きかったのですが、それにも気がつかないご様子でした。
けたたましい非常ベルの音にも気がつきません。
誤報が多かったのですが、そのたびに、私がお隣にお知らせしていました。

私はその方にたくさんのことを教えていただきました。
自分自身が全聾になったわけでないのに、
聾の生活のどんなところがたいへんで不便なのか、教えてもらいました。
今でもそのことは有り難いと思っています。

そして、私も大学生でほぼ大人だったので、
生活音がうるさいことへの苦情は言わずじまいでした。

多分お互いに子供だったらもっといろいろなことを
（苦情も含めて）
あれこれ考えずにお互いに素直に伝えることができたでしょう。

私の息子は小学生で、今のところ健康に育っていますが、
健康な故の無神経さがあると思っています。

それに気がつくために、
いろいろなバックグラウンドの人と子供のうちに接して欲しいと思っています。
大人になると、お互いに傷つきたくないので、
それぞれ相手にあわせて、
傷つくようなことを言わないように言われないように自然に防御してしまいます。
それではいつまでたっても知ることはできないし、
知らなければいつか知らずに相手を傷つけてしまうことがあるかもしれません。
相手も大人なので傷ついたことを伝えてくれずにいるかもしれません。
それではいつまでたっても知らないままです。

子供の素直な残酷さは時には子供が成長するために必要なことで、
それはお互いに、
障害のあるお子さんにとっても成長する上で大切なことだと思います。
大人になって変な偏見や自己防御の手段を知る前に、
素直な気持ちでお互い人間同士としてのコミュニケーションの方法を学んで欲しい、
いろいろな方と接していろいろなことを知りながら育って欲しいと思っています。

ただし、その立場にならないとわからないことってやっぱりあると思います。

障害の面でもそうだし、

些細なことをいえば、
例えば子育ても。
子育てしてみないとわからない、と感じることってありますよね。

不妊治療も。
そのつらさは経験した人でないとわからないと思うでしょう。
現在治療真っ最中の人は、
子供のいる人にはわからない！と思うかもしれません。

流産も。
そうなってみないとわからないこと、
言ってもわかってもらえないと感じる事ってあると思います。

だけどそれをしたことのない人に、
わかってくれないからといって心を閉ざしたり疎遠になったりしてしまうと悲しいですよね。

傷つく言葉やそぶりを見せられるときには、
はっきりそのことを伝えれる強さを持ちたいです。

それぞれいろいろな立場の人がいて、
いろいろな経験をした人がいるので、
どんな言葉に傷つくのか、
どんな態度に傷つくのか、
どうしてもらったらうれしかったのか、

その立場の人は、そのことを知らない人になるべく伝えていけるようにしたいし、してもらいたいなあと思います。

そして、
その経験をしたことのない、
「知らなかった」場合には、
ちいさなその声に気がつくことが出来るように、
いつも心を開いて受け止めることができたらいいなあ、と思います。