2009年02月24日
思春期の生理痛
久しぶりに「ためになる話(?)」を。。。
今日は、思春期の生理痛についてです。
その事で悩んで外来に来る患者さんは少ないのですが、
「知り合いのお子さん」の悩み相談をされることは非常に多い事柄です。
つまり、おそらく、みんな
「病院に行くほどのことはないけど」
「でもやっぱり気になる」
「将来赤ちゃんが産めなくなったら困るし。。。」
「でもでも!産婦人科に受診するのは嫌だわよね。。。」
てなところでしょうか。
産婦人科で医師がいつも念頭に置いているのは、
年齢
です。
同じ症状でも年齢によってはあまり心配いらないし、
年齢によってはとっても重くとらえなければならないこともあります。
例えば、20才の人の出血といえばそれは生理か妊娠に伴う出血かのことが多いのですが、
70才の人が出血したとしたら、悪性腫瘍か萎縮性膣炎を疑います。
(20才の悪性腫瘍もあり得ますし、60才でも絨毛性疾患など妊娠反応陽性になる病気もありますので、一概にはいえませんが。)
生理痛も同じように年齢によってどれくらいどの病気を心配するかが異なります。
40才の人の重い生理痛は子宮内膜症のような病気を疑いますが、
思春期の重い生理痛が子宮内膜症であることは稀です。
子宮内膜症というのは、
子宮内膜が卵巣や子宮の筋肉の間など本来の場所以外にできてしまう病気です。
そこで月経血が排出先がなくてたまってしまうことによって、
生理の時に強い痛みを生じる病気です。
さらに、長い年月と共に
お腹のなかで癒着を生じやすくなり、ひどい時には卵管がつまってしまって
妊娠しづらくなることもあります。
(程度や場所にもよりますが。)
しかし、思春期というのは、そういった慢性の病気が出てくる前ですので、
(生理が始まってまだ数年しかたっていませんよね。)
子宮内膜症による月経痛という可能性は低いです。
(可能性が低い、というだけで、全く発生しないわけではありません。)
ただ、子宮内膜症の初期の状態があったとしても、
特別な治療を早期にしなければ手遅れになってしまうということはあまりありません。
じゃあなぜ思春期に生理が重いのか。
一般に
「まだホルモンや子宮の状態が未熟だから」
と説明されることが多いです。
25才前後になるくらいには、自然におちついていくことが多いです。
(しかし、初潮開始から年月がたつにつれて子宮内膜症の発生率が高くなっていきます。
20才をすぎても年齢と共に逆にどんどん月経痛がひどくなるような人は子宮内膜症を疑ってもいいかもしれません。)
思春期の生理痛には、
・鎮痛剤で症状をおさえる
・ピルで排卵を抑えて痛みをおさえる
などで対処されることが多いです。
これらの治療の両方とも初期の子宮内膜症のときの治療法とほぼ同じですので、
子宮内膜症の診断を確定させるよりも、
まずは対症療法(症状をおさえる治療法)をするのが一般的です。
そんなぁ〜!?
ちゃんと診断してから治療するべきでしょ〜!?
と思うかもしれませんが、
子宮内膜症の診断といっても、結構簡単なようで難しいこともあるんです。
エコー、内診、MRI、などで診断することが一般的ですが、
それでははっきりわからないような初期の状態だったり、
生理痛ばかりひどくて子宮内膜症の所見に乏しいこともあるんです。
(これは思春期に限らず、です。)
(逆に、すっごい重そうな所見なのに、意外と生理痛は軽いという人もいます。)
でも、所見に乏しいといわれても現実に痛いもんは痛いですよね。
病院に行っていろいろ検査しても
『どこもなんともない』と言われ。。。
だのに、生理痛はすっごくつらい!という人は現実にいるんです。
そういう人には、いろいろと追加検査したり、
わざわざ腹腔鏡など手術して確定診断したりしていた時代もありますが、
(今でもその必要がある人もいますし、腹腔鏡はそのまま治療もできるメリットもあります)
考えてみたら、
診断を確定させることが大事なのではなくて、
症状を何とかすることと将来への影響を少なくすることが大事なのですよね?
(悪性腫瘍など、放置しておいたらいけないような病気さえなければ。。。)
先ほども書いたように、
思春期の単純な生理痛への対症療法と
子宮内膜症の初期に対する治療とは
ほぼ同じ治療法なので、
一般的には、基本的な検査をした後はあまり診断を確定させることに固執せず、
症状を第一に考えて治療することが多いです。
つまり、診断よりもどちらかというと症状に対して治療する、と考えればいいかもしれません。
もちろん、一般的な検査は必要です。
本当に悪性腫瘍などがないか、他の病気が隠されていないか、生まれつきの子宮や膣の形の異常がないかなど。
思春期で膣からの診察が嫌ならば省略することは十分可能です。
受診する医療機関によって方針は微妙に異なりますが、本人の希望を尊重するところがほとんどと思います。
何か他の異常がある可能性がある場合は内診がどうしても必要なことはありますが、その場合は仕方ないですよね。
また、一般に、将来妊娠すると、生理痛は治る人が多いです。
ホルモンバランスが安定するのもありますが、その間(妊娠中や授乳中の約1年〜2年の間)月経は止まるので、よしんば子宮内膜症があったとしてもその間に軽快しますから。
ですから、思春期に生理痛がひどかったけど、20才前後でだんだんましになり、そのうち妊娠出産を数回するとその後知らないうちによくなった、という経過をたどる人が多いです。
でも、そのうち中年になると、また子宮内膜症の症状がでてくることもありますが。。。
以上、一般論をなるべくわかりやすく書いたつもりです。
子宮内膜症という病気はとてもやっかいで難しい病気ですので、説明し始めるともっと長くなります。
ですから、ここではあまり言及せず、あくまで思春期の生理痛、という点にスポットをあてて書きました。
すっごく生理痛がひどい人の気持ちは、なかなか他の人にはわかってもらいにくいもの。。。
どうかこれを読んで今悩んでいる人やそのお母さんの気持ちが少しでもらくになりますように。
今日は、思春期の生理痛についてです。
その事で悩んで外来に来る患者さんは少ないのですが、
「知り合いのお子さん」の悩み相談をされることは非常に多い事柄です。
つまり、おそらく、みんな
「病院に行くほどのことはないけど」
「でもやっぱり気になる」
「将来赤ちゃんが産めなくなったら困るし。。。」
「でもでも!産婦人科に受診するのは嫌だわよね。。。」
てなところでしょうか。
産婦人科で医師がいつも念頭に置いているのは、
年齢
です。
同じ症状でも年齢によってはあまり心配いらないし、
年齢によってはとっても重くとらえなければならないこともあります。
例えば、20才の人の出血といえばそれは生理か妊娠に伴う出血かのことが多いのですが、
70才の人が出血したとしたら、悪性腫瘍か萎縮性膣炎を疑います。
(20才の悪性腫瘍もあり得ますし、60才でも絨毛性疾患など妊娠反応陽性になる病気もありますので、一概にはいえませんが。)
生理痛も同じように年齢によってどれくらいどの病気を心配するかが異なります。
40才の人の重い生理痛は子宮内膜症のような病気を疑いますが、
思春期の重い生理痛が子宮内膜症であることは稀です。
子宮内膜症というのは、
子宮内膜が卵巣や子宮の筋肉の間など本来の場所以外にできてしまう病気です。
そこで月経血が排出先がなくてたまってしまうことによって、
生理の時に強い痛みを生じる病気です。
さらに、長い年月と共に
お腹のなかで癒着を生じやすくなり、ひどい時には卵管がつまってしまって
妊娠しづらくなることもあります。
(程度や場所にもよりますが。)
しかし、思春期というのは、そういった慢性の病気が出てくる前ですので、
(生理が始まってまだ数年しかたっていませんよね。)
子宮内膜症による月経痛という可能性は低いです。
(可能性が低い、というだけで、全く発生しないわけではありません。)
ただ、子宮内膜症の初期の状態があったとしても、
特別な治療を早期にしなければ手遅れになってしまうということはあまりありません。
じゃあなぜ思春期に生理が重いのか。
一般に
「まだホルモンや子宮の状態が未熟だから」
と説明されることが多いです。
25才前後になるくらいには、自然におちついていくことが多いです。
(しかし、初潮開始から年月がたつにつれて子宮内膜症の発生率が高くなっていきます。
20才をすぎても年齢と共に逆にどんどん月経痛がひどくなるような人は子宮内膜症を疑ってもいいかもしれません。)
思春期の生理痛には、
・鎮痛剤で症状をおさえる
・ピルで排卵を抑えて痛みをおさえる
などで対処されることが多いです。
これらの治療の両方とも初期の子宮内膜症のときの治療法とほぼ同じですので、
子宮内膜症の診断を確定させるよりも、
まずは対症療法(症状をおさえる治療法)をするのが一般的です。
そんなぁ〜!?
ちゃんと診断してから治療するべきでしょ〜!?
と思うかもしれませんが、
子宮内膜症の診断といっても、結構簡単なようで難しいこともあるんです。
エコー、内診、MRI、などで診断することが一般的ですが、
それでははっきりわからないような初期の状態だったり、
生理痛ばかりひどくて子宮内膜症の所見に乏しいこともあるんです。
(これは思春期に限らず、です。)
(逆に、すっごい重そうな所見なのに、意外と生理痛は軽いという人もいます。)
でも、所見に乏しいといわれても現実に痛いもんは痛いですよね。
病院に行っていろいろ検査しても
『どこもなんともない』と言われ。。。
だのに、生理痛はすっごくつらい!という人は現実にいるんです。
そういう人には、いろいろと追加検査したり、
わざわざ腹腔鏡など手術して確定診断したりしていた時代もありますが、
(今でもその必要がある人もいますし、腹腔鏡はそのまま治療もできるメリットもあります)
考えてみたら、
診断を確定させることが大事なのではなくて、
症状を何とかすることと将来への影響を少なくすることが大事なのですよね?
(悪性腫瘍など、放置しておいたらいけないような病気さえなければ。。。)
先ほども書いたように、
思春期の単純な生理痛への対症療法と
子宮内膜症の初期に対する治療とは
ほぼ同じ治療法なので、
一般的には、基本的な検査をした後はあまり診断を確定させることに固執せず、
症状を第一に考えて治療することが多いです。
つまり、診断よりもどちらかというと症状に対して治療する、と考えればいいかもしれません。
もちろん、一般的な検査は必要です。
本当に悪性腫瘍などがないか、他の病気が隠されていないか、生まれつきの子宮や膣の形の異常がないかなど。
思春期で膣からの診察が嫌ならば省略することは十分可能です。
受診する医療機関によって方針は微妙に異なりますが、本人の希望を尊重するところがほとんどと思います。
何か他の異常がある可能性がある場合は内診がどうしても必要なことはありますが、その場合は仕方ないですよね。
また、一般に、将来妊娠すると、生理痛は治る人が多いです。
ホルモンバランスが安定するのもありますが、その間(妊娠中や授乳中の約1年〜2年の間)月経は止まるので、よしんば子宮内膜症があったとしてもその間に軽快しますから。
ですから、思春期に生理痛がひどかったけど、20才前後でだんだんましになり、そのうち妊娠出産を数回するとその後知らないうちによくなった、という経過をたどる人が多いです。
でも、そのうち中年になると、また子宮内膜症の症状がでてくることもありますが。。。
以上、一般論をなるべくわかりやすく書いたつもりです。
子宮内膜症という病気はとてもやっかいで難しい病気ですので、説明し始めるともっと長くなります。
ですから、ここではあまり言及せず、あくまで思春期の生理痛、という点にスポットをあてて書きました。
すっごく生理痛がひどい人の気持ちは、なかなか他の人にはわかってもらいにくいもの。。。
どうかこれを読んで今悩んでいる人やそのお母さんの気持ちが少しでもらくになりますように。
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この記事へのコメント
子宮筋腫は恐いですよね。私も手術して大変でした。何かおかしいと思ったらすぐ病院に行かないといけません。早めの対処が一番です。
Posted by 子宮筋腫の症状と治療 at 2009年06月18日 23:29
『子宮筋腫の症状と治療』さま
私の説明が舌足らずだったのかもしれませんね。
子宮筋腫と子宮内膜症は合併することもありますし、臨床的に鑑別が難しいことも(稀に)ありますが、別の病気です。
いずれにせよ部位や大きさによって症状も様々ですし、微小な病変があっても何の問題もない人もいますので、過剰に心配だけするのもいけないかなあ、と思っています。(小さくても場所によっては強い症状を呈することもあります。)
おっしゃてくださったとおり、自己判断ではなく病院を受診して状態を確認をすることは大切ですよね。
私の説明が舌足らずだったのかもしれませんね。
子宮筋腫と子宮内膜症は合併することもありますし、臨床的に鑑別が難しいことも(稀に)ありますが、別の病気です。
いずれにせよ部位や大きさによって症状も様々ですし、微小な病変があっても何の問題もない人もいますので、過剰に心配だけするのもいけないかなあ、と思っています。(小さくても場所によっては強い症状を呈することもあります。)
おっしゃてくださったとおり、自己判断ではなく病院を受診して状態を確認をすることは大切ですよね。
Posted by とまごま at 2009年06月21日 23:58

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